■nirvana


nirvana best 発売

もっとも影響を受けたバンドと聞かれたら迷わずニルヴァーナと答える。ニルヴァーナと出会い音楽に対する考え方はもちろん、価値観が変わったと言っても過言ではない。またニルヴァーナを通して色々な素晴らしいバンドを知ることができた。よく70年代ロックが素晴らしい、ビートルズが最高のバンドとか言われるが私にとっての70年代は90年代のオルタナ最盛時であり、ビートルズはニルヴァーナであり、ジョンレノンはカート・コベインなのだ。
ニルヴァーナの魅力はたくさんありすぎて絞りきれないが、それでも敢えて一点書くとするなら、それはカートの声だろう。ハードだけど繊細な、聴くものを揺さぶるあの声。元ちとせが100年に一人の声ならカートのような声はもう出てこないかも。死んでしまった後で聴いたからそう思ったのかも知れないが「WHERE DID YOU SLEEP LAST NIGHT」で激唱するカートの声はまさに命と引き替えに歌っているのではと思わせるぐらいに激しく、美しく、そして悲しかった。

ニルヴァーナのベスト版が出た。彼らのアルバム収録曲全てがベストに近いのでこの選曲にはかなり異論もあろう。私もなぜあの曲が入ってないのか、などと思うのだが、それを言っていると全曲いれなくてはならないはめになる。つまり私にとってはベスト版としては全く機能していない。未発表曲である1曲目の「you know you're right」とおまけの15曲のCDなのだ。「you know 〜」を聴いてまず思い出したのは、カートがR.E.M.のマイケルスタイプとコラボレートしたいと言っていたことである。なぜか?「you know 〜」のイントロからAメロが非常にR.E.M.的なのだ(サビもディストーションギターを抜けば極めてR.E.M.的だ)。
「you know 〜」はニルヴァーナ最後のレコーディング曲であり、そのことを考えると「IN UTERO」以降の方向性について色々想像してしまう。

「だんだん消えるくらいなら燃え尽きるほうがいい」と書き残しカート・コベインは自らの頭をショットガンで撃ち抜き、死んだ。だが、レッチリやパール・ジャムは燃え尽きた灰の中からまた素晴らしい音楽を創り出した。もしカートが最悪の時期を乗り越え、燃え尽きた灰の中から何かを創り出すチャンスがあったならどんな音を出しただろうか。それが永遠にわからないのはとても悲しいことである。2002/11/02