■manic street preachers


マニックス論

マニックスは、ニルヴァーナの陰に隠れて私が見過ごしてきたバンドである。ちょうど彼らが出始めた当時、ニルヴァーナなどUSオルタナが最高に盛り上がっていたときで、ニルヴァーナと対照的なグラムっぽい格好やハイプな発言が目につき、「聞かず嫌い」の状況であった。今回も友人の薦めが無ければまったく聴かずにいたところだ。ベスト版とライブDVDしか聴いていないのでコアなファンからはお叱りを受けそうだが、マニックスは「紙一重でかっこいいバンド」と言えよう。そう、一歩間違えばかなりダサいバンドになるのだ。一聴すると日本のビートバンドが創りそうな曲が初期にはけっこうある。ソロも同様。そしてルックスだってお世辞にもかっこいいとは言えない。だが、日本のそこら辺のバンドとは決定的に違う何かがある。フォーマットこそ同じだが、メロディやボーカル、扱っている詩のレベルが圧倒的に高いのだ。そしてなによりも、曲の全てから実直で素晴らしいメッセージが伝わってくる。こうなってくると、この紙一重のかっこよさはものすごい武器になる。より実直に、ダイレクトに聞き手をとらえるのに貢献するのだ。しかもこのぎりぎり感は出そうと思っても出てくるものではない。出そうと思った瞬間、そのバンドは死ぬほどダサくなるだろう(日本のバンドはほとんどこのパターンでかっこわるい)。数々の挫折やリッチー失踪を越えて鳴らされる「a design for life」は珠玉の1曲だ。マニック・ストリート・プリチャーズこそ、労働組合でがんばっている仲間にぜひきいてもらたいバンドだ。02/12/03 加筆 03/1/21